訪問介護の仕事は、主に身体介護と生活援助の2つに分けられます。この他、病院に通う高齢者の受診手続きを手伝ったり、車で送迎する通院乗降介助もありますが、ここでは触れません。
身体介護とは、排泄や入浴などの際に利用者の身体動作を補佐する介護です。手洗い所への誘導、おむつの交換、床ずれ防止のための体位変換なども身体介護に含まれます。
これに対し、生活援助というのは家事など身体介護以外のサポートする仕事です。例えば住居の清掃、ゴミ出し、洗濯、アイロンがけなどで、これら生活援助で使用する掃除道具や洗濯洗剤などは利用者側の負担です。
買い物や薬の受け取り、調理などは生活援助の代表例です。しかし、出来上がった食事を本人の口に運んだり、服薬を手伝う仕事は身体介助に分類されます。
介護施設の職員とは違い、訪問介護員は利用者の自宅に出向き、そこでサービスを提供します。そのせいか、これを家事代行サービスと勘違いして受け取ってしまう高齢者も少なくありません。
しかし訪問介護員は家事のプロではなく、資格を有する介護のプロです。その業務内容は介護保険で指定されており、日常生活に必要な範囲を超えて家事を受け持つことはありません例えば引っ越し作業、ペットの世話、来客の対応などは生活援助の範囲外に当たります。
また利用者には生活援助にあたる仕事でも、本人以外の家族などに対し同じ援助を行うことは認められていません。訪問介護員の生活援助は、あくまで身体機能の低下した高齢者の日常生活をサポートするサービスだからです。生活援助に明確な範囲があることも、訪問介護の仕事に就く前に知っておきたいポイントです。